警察庁高官を父に持つ県警の刑事・西村は五ヶ月前、横浜の新海地区で暴力団の一斉摘発を指揮した。その時におさえた四之崎組組長に実刑判決が下ったのをきっかけに、親筋にあたる組の連中に襲われる。鉄パイプが振り下ろされ、もう終わったと西村が思った時だった。一人の男が現れ、組員たちを追い払ったのだ。その男・南条は現在、組長不在の四之崎組を任されているのだが、西村とはかつて、同じ業界を目指し、ぶつかり合ったこともあったのだ…。暴力と恐怖が支配するハードボイルドな世界を描く新人作家のデビュー作。西村の過去に関する話も収録。