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かつて江戸の町をむしばんだ御禁制の麻薬「稲妻」―。八丁堀の狐の一の子分・斬られの伊佐治が、女房のお袖とともに本所入江町に店開きした両国薬研堀「四つ目屋忠兵衛」の出店に、「稲妻」を求める客が殺到した。「稲妻」は、八丁堀の狐こと北町奉行所与力・狐崎十蔵が、売人の元締め・般若の五郎蔵一家とともに一網打尽にしたはずだった。買い付け騒動を煽動しているのは紅布連と呼ばれる悪餓鬼の一味。さらにこの騒動に乗じて、古参与力の狩場惣一郎が狐潰しに動いているらしい。過去から甦ってきた亡霊のような出来事に困惑する狐の面々だが、紅布連の首領「一つ目の一」の素姓を探るうち、裏で糸を引く意外な人物が浮かび上がってきた。好評書下ろし第四弾。