ダイヴィングの最中に事故に遭い、ママは植物状態に陥った。余命いくばくもない彼女の病室に、ある日とつぜん、見知らぬ中年男性が現れる。そして遂にママが亡くなり、わたしは決意する。もう一度、あの男性に会わなければならない。改めてママと出会うために―。ようやく重い口を開いた彼の話から姿を現したのは、私の知らない一人の女性だった。自分の一生は、あの一週間のためにあったのかもしれない。そんな一生のような「一瞬のきらめき」を、切なく静かに描きとった中篇集。『世界の中心で、愛をさけぶ』につながる3つの愛の物語。