花咲き乱れる夕暮れの庭園で、蝶とたわむれる清楚な美女―絵本作家のブーンは、新たな隣人アナスターシャの姿に、自分の物語に登場する妖精のプリンセスを思い浮かべた。不思議なほど心引かれる…だが、今のぼくには恋など必要ない。アナスターシャのほうも、ブーンの視線がもたらす胸の高鳴りを、なんとか無視しようと努めていた。彼に知られてはいけない。わたしが妖精の血を引き、不思議な力をそなえていることを…。それぞれの理由で、慎重に距離をおいていた二人だったが、ある夜、月明かりに誘われて、激しいキスを交わしてしまう。