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要旨 |
三島由紀夫(一九二五~一九七〇年)は大正末年に生まれ、昭和の三分の二ほどの時間を駈けぬけるように生き、多くの作品を遺して壮絶な最期を遂げた。戦中すでに耽美的な少年作家として登場し、戦後は無軌道なアプレ・ゲール世代を代弁する青年小説家としても健筆をふるい、やがて古典主義とロマン主義がみごとに結合した代表作『金閣寺』を発表して、創作活動のひとつの頂点をむかえる。文学者としての華やかな経歴のかたわら、三島はのちに「楯の会」を結成して、自衛隊への体験入隊を繰りかえした。三島がただことばを玩んでいたのではなかったことを、ひとびとは一九七〇年十一月二十五日に知ることとなる。本書は、最後の傑作『豊饒の海』にいたる、主要作品の系列を読みなおすことで、その政治的行動の背後にある、作家・三島由紀夫の生と思考の軌跡をあきらかにする。三島死後五十年を期して上木される、決定版評伝である。 |
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目次 |
はじめに―三島由紀夫と高橋和巳 |