九・一一同時多発テロ直後の二〇〇一年一〇月、「白い粉の恐怖」が全米を震撼させた。史上例のないバイオテロとなった炭疽菌ばら撒き事件である。ニューヨーク在勤の日本人医師である著者が、パニックに襲われた米国の状況を冷静に記録する一方、バイオテロと生物兵器に関する情報を見きわめたドキュメントが本書だ。再び、いつ、どこで起きるかも知れないバイオテロ、そしてその凶器とされる恐れのある、炭疽・ペスト・天然痘・出血性熱・野兎病・ボツリヌス中毒について分かりやすく解説し、大腸菌O‐157が生物兵器としてリストアップされていることにも言及する。