大隈重信は佐賀藩士の家に生まれ、漢学・蘭学・英学を学んで世界的な視野を開き、明治から大正期にかけて政治家として財政・外交に優れた手腕を発揮した。また近代日本の設計者として、広く明治文明を推進した功績は大きい。一九一五年の二十一カ条要求によって、日本を軍国主義、中国侵略へと導いたとする説もあるが、本書では特にこの点で「大隈功罪論」を再考する。大隈の政治・外交の真意はどこにあったのか?孫文とも袁世凱とも親交のあった大隈はどのような態度をとったのか?また、山県有朋との確執や福沢諭吉との深い友情、素顔を語るエピソードなどを紹介して、大隈の人間的魅力を活写する。