それは「ヤマトタケル」に始まった。作/梅原猛、台本・演出・主演/市川猿之助。衣裳、美術、舞台技術、照明、音楽などスタッフにも新しい人材を得て、スーパー歌舞伎第一作は一九八六年二月、新橋演舞場で幕を明けた。古典と現代芸術、そして東西文化融合への人々の思いが重なった。以後、二〇〇三年の「新・三国志3‐完結篇」まで九作品。歌あり踊りあり芝居ありの歌舞伎本来のおもしろさを復活させ、現代人にも通じるテーマ性で、多くの観客を堪能させているスーパー歌舞伎。表現者であり創造者である著者が、三〇年にわたるその軌跡をたどり、制作現場から語る、作品創りへの情熱。