かつて「地上の楽園」と賛美する者さえいたこの国の経済は、なぜ破綻したのか。そこには社会主義国が共通に抱える問題とともに、北朝鮮独自の問題があった。北朝鮮は建国以来、社会主義国でありながら計画経済が機能しない「計画なき計画経済」国家であり、また「自立的民族経済」を掲げながらその実態は援助の上に成り立つ「“被”援助大国」であり、対外経済関係ではボーダレスには程遠いボーダ「フル」な経済国家だったのである。関係諸国から断片的に報告される各種データや研究書を丹念に調べ上げて、「秘密国家」のベールの奥に隠された経済の実態に迫る、渾身の研究の書。