地球は四六億年前に誕生した。だが、最初の四〇億年はまだ闇に包まれている。近年、約七億年前の氷河堆積物にまつわる多くの謎が浮き彫りにされてきた。その謎解きから急浮上したのが「当時、赤道付近まで雪と氷に覆われる大寒冷期が地球を襲った」という仮説だった。そしてその極寒期の後には多細胞生物の爆発的繁栄期が訪れる―。本書は、地球科学の最前線に立ち自らも地球史の痕跡を求めて世界各地を調査する著者が「全球凍結仮説」をリポートするものである。この仮説の提示する地球観は、気候システムの研究を活性化させ、さらには生物と地球の離れ難い関係に及んでいく。