学閥(ジッツ)とは、わが国独特の同じ医学部の卒業生で作られる、見えない組織である。医者同士が初対面の時、まず卒業年度と出身校を訊く。先輩か後輩か、国立か私立か、医局はどこか。これによって医者の間に微妙な力関係が生じる。旧帝国大学医学部を頂点とした学閥は、医学界そのものを支配している。大学病院のスキャンダル、医療過誤の背後にも見え隠れする。学閥に屈することなく、医学的な真実だけを追究できる医者が、なぜ育たないのか。本書は、学閥の成り立ちから、現在までの経緯を糺し、今後どう改革していくべきかを提言する。