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[要旨]
九・一一以後に、思想を語ることは無益か。わたしたちを取り巻いている、不可解にして理不尽な出来事。そこに露呈している「狂気」と「非合理」の諸相は、いかにして形成されたのか。何を起源とし、どのような系譜をたどって、「今日」はあるのか。言葉をもって、現代の世界と向かい合うための、ありうべき思考の筋道を求めて。生きるために考え、歩くために「なぜ」と問う。人として在ることの根拠への問いを、混沌とした思想の風景から収集する、反時代的目録。
[目次]
1(スペインで起こったこと
何ゆえの「結婚」か?
「平和」を駆逐する「安全」―三年目の九月に
法は身体をどう扱か
名づけと所有―「アメリカ」という制度空間)
2(慟哭のエレニ―アンゲロプロスの“ギリシア”
人みなそれぞれの「アフリカ」を…―『ダーウィンの悪夢』から
進化論とメビウスの帯
アトス山訪問)
3(アルジャジーラと報道の理性
グローバル化の三つのステージ―宗教、政治、経済
腐敗する戦争
“思い出をもつ”ことの無惨
経済はいかにして倒錯したか―K ポラニーの後に)
4(沖縄、揺れる活断層
医における知と信―医療思想史の試み
生命科学とサイバネティクス
いのちのかたち
思想としての経済学バタイユ
ポラニー
ジョージェスク=レーゲン
生きものの理性―核を恐れる)