[要旨]
正方形の盤面上で黒白の石によって競われる囲碁は、壮大深遠なシンボリズムを蔵する宇宙論的世界である。碁盤は大地の隠喩であり、四隅は四季をあらわし、三六一目は一年に相当する。童子や老賢者が碁に興じる民話は、文化の深層へとわれわれを誘っていく。囲碁を入口にして中国の豊かな精神世界を旅する歴史人類学の代表作。
[目次]
第1章 囲碁の魔術性
第2章 碁盤の空間的象徴性
第3章 爛柯考
第4章 老賢者
第5章 少年と小鳥
第6章 石室の宇宙論
第7章 桃と棗の時間論
第8章 碁盤と碁石の時間的象徴性