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[要旨]
日中関係は、古来ほぼ疎遠であった。経済的な交流は盛んでも、相互理解は進まなかった。遣唐史とは、少なくとも中国の側からすれば「敗戦国」からの朝貢使節に過ぎず、この時代、日本は東アジアから隔絶していた。中国からの影響も、きわめて選択的な受容にとどまっている。元寇以降、中国北方とは政治軍事中心の、南方とは経済・文化中心の関係となった。その後、日本は寺子屋で漢文を庶民に教えるなど「漢語化」するが、中国文化を全面的に信頼することはなく、中国も日本から学んだ時期があったが、その理解は表面的なものだった。気鋭の歴史学者が描く、新たな日中関係史。
[目次]
1 黎明―「日出づる処」と「日没する処」(隋唐以前
遣唐使の時代―孤立する日本 ほか)
2 深化と矛盾―「倭寇」と明朝(「一四世紀の危機」から「朝貢一元体制」へ
東アジア秩序の再編 ほか)
3 平和と疎遠―清朝と「鎖国」(日中政権の変容
清朝・朝鮮の関係と日本 ほか)
4 世界秩序の転回―一九世紀(近代前夜の風景
「西洋の衝撃」を受けて ほか)
5 険しい時代―二〇世紀前半(従属してゆく中国
善隣の時代 ほか)