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[要旨]
本書は、日中両国の世界への対応の差異が典型的に表れた幕末・清末の歴史を「託古改制」という新たなキーワードを用い、明治維新のシナリオを書いた知られざる思想家・横井小楠、明治維新に範をとった戊戌変法を開始せしめた清の思想家・康有為を始め、佐久間象山と馮桂芬、吉田松陰と章炳麟という三組六人の大思想家の比較を行い、「儒教文化圏・漢字文化圏」などと概括されがちな両国の差異を浮き上がらせ、東アジアの将来の展望に資することを目指すものである。
[目次]
序章 「託古改制」から見た、十九世紀、東アジア(幕末・晩清)に於ける思想史の展開―関係史としての幕末・維新史(「託古改制」とは何か)
第1章 佐久間象山と馮桂芬―日中の「洋務派」(序論
佐久間象山の思想 ほか)
第2章 横井小楠と康有為―日中の「変法派」(横井小楠の活動概説
小楠の「託古改制」の本質 ほか)
第3章 吉田松陰と章炳麟―日中の「革命派」(革命派とは何か―総論
吉田松陰と革命思想 ほか)
終章 総括―日中における『伝統』(思想と「言語空間」―特に儒教において
中国における「託古改制」の諸相 ほか)