G県豊来郡美森町。主な産物は茶と合成ゴム製品とせんぺい。僻地の山村である。二十歳の巨漢・岩室猛志は、亡くなった祖母の住まいを管理するために、この地にやってきた。そこで、ひとつ年上の美人で、生まれも育ちも美森町の貫行詐織と知り合う。詐織は町役場の職員から謎めいた事件の解決役を任されているが、田舎のこととて、若い女ひとりではどうにも信用されない。そのため、猛志を前面に立て、「町立探偵 竿竹室士」を名乗ることを考えた──。民俗学的な意匠とローカルでのどかな雰囲気をブレンドし、飄々とした筆致で紡がれる、異色の探偵小説!