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日本にも、海外にも、日本語を学ぶ子どもたちがいます。よく見ると、家の中で親のことばを話し、学校で日本語を使う子ども、また逆に、家の中で日本語を話し、外でほかのことばを使う子どももいます。そんな子どもが世界各地に増えています。
この本を手に取るみなさんの中にも、あるいは知り合いの中にも、幼少の頃から複数のことばの中で成長した人がいるのではないでしょうか。この本のタイトル「日本語を学ぶ/複言語で育つ」というのは、複数のことばの中で成長しつつ、同時に、日本語も学ぶという子どもの姿を表しています。この本は、そのような子どもたちがどのように生きているのか、また私たちはそのような子どもたちをどのように育てていったらよいのかを、「ことばの学び/ことばの教育」の視点から考えようという本です。
ただし、子どもたちは多様で、日々成長しています。一人ひとりの子どもに合った「ことばの学び/ことばの教育」の答えは一つではないでしょう。この本が「ワークブック」となっているのは、これらのテーマについて、いっしょに考えてみましょうというメッセージです。ですから、この本の中に、たくさんの問いとディスカッションのテーマがあります。しかし、正解が示されているわけではありません。この本は、受講生のみなさんとともに考えることを第一に重視したテキストなのです。
この本は、大学の学部用のクラスで2年間にわたり使用したテキストをもとに編集しています。授業担当者が一方的に話す講義形式の授業ではなく、受講生がテキストを読み、話し合い、ともに学ぶという対話重視の協働学習のクラスを提案しています。
複言語で育つ子どもに関する、日本語教育の新しい実践教育がここから始まるのです。