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人や地域のつながりを大切にして、伝統文化や古くから伝わる生活習慣をひもとくことで、日本のモノ・コト・ヒトの素晴らしさを改めて実感する雑誌『YUCARI』。第9号は「日本の庭」特集です。
日本の庭は、飼育・栽培・収穫を行う実用的なスペースから、儀式・もてなし・祭りの場という用途をもつことによって発展します。さらに鑑賞と憩いの場、宗教や哲学といった要素が加味され、今日に至るまで多くの美しい「日本庭園」が作られてきました。
庭園づくりは、その配置、入口や園路など、どこからどう見れば美しく感じられるのかを綿密に計算したアートです。名所を見立てて縮小表現する「縮景(しゅくけい)」、園外の景観を取り込む「借景(しゃっけい)」、門や生垣で庭園全体を直接見せない「見え隠れ(みえかくれ)」などの技法を駆使し、石の組み方だけで、海・山・川などの自然風景、さらには吉祥や宗教観までを表現してしまうのです。知れば知るほどに、日本の庭園の奥深さに驚かされます。
今号では、誰でも「日本庭園」を楽しめるように、庭園の種類や石組などやデザインについてもわかりやすく解説しています。庭園づくりの歴史は、年表になっており、社会の出来事と結び付き興味深く読めます。夢窓疎石(むそうそせき)、千利休といった歴史上の重要人物もしっかり押さえてあります。
また、「どうしても見ておきたい名庭」として、桂離宮、毛越寺庭園など全国10の庭園を紹介しています。『YUCARI』をご覧になれば、庭園の見方が変わるはずです。巻頭の「重森三玲の世界」は、庭園の存在感、美しさに圧倒されます。他にも、禅と日本庭園の関係。小さな庭として、美しい「坪庭」、ちょっと試してみたい「箱庭」づくり。イサム・ノグチや白洲次郎、正子夫妻といった人物と庭の話など、盛り沢山です。