疑似家族的で、賑やかかつ穏やかな雰囲気が売りのグループホーム「若葉荘」。オーナーの野末寥も、まだ五十歳ながら、ホームに同居している。両脚不随となった元警部の入居者がいる関係で、現役の刑事も出入りしており、まだ十八歳の住み込みヘルパーもいるので、世代も来歴も多彩な顔ぶれが揃っている。ところが、突然、若葉荘のすぐ近くで、高速道路の建設計画が成立し、まもなく周囲は大騒音に包まれることになるという。建築に反対し、ホームを守ろうとした市会議員の女性が変死したことから、事態はさらに複雑化していく……。最長老のひとりにして、もっともやんちゃな本格ミステリ作家、本領発揮の快作!