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世を去る者への慈悲の剣面に出せぬ士(さむらい)の心幕府御様し御用として、将軍が佩刀する刀の切れ味を様す役に当たる二代山田朝右衛門は息子の吉継にその座を継がせるために、幼少の頃より過酷な修業を課してきた。そして、ついに吉継が参内を継ぐ日がやってきた。二代・山田朝右衛門は山田家に伝わる名刀“鬼包丁を吉継に渡し、すでに陰腹を切っている己の首を討つよう、吉継に命じた。父の首を討ち、吉継はその人生でただ一度だけの涙を流す。三代目山田朝右衛門吉継が生まれた瞬間だった。