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天下第一の奇書といわれる『金瓶梅』は、中国でたびたび発禁の憂き目を見ながら、四百年間読み続けられてきた。描く世界は主人公西門慶の家庭内の出来事を中心にした「飲食男女」すなわち日常生活であるが、その裏に人の心の深い闇を覗かせる凄味に満ちた作品である。本書は西門慶の人物像と、それぞれ個性豊かに描かれる彼を巡る女性たちの魅力を探り、明代に現れた型破りの小説への一つの「読み」を呈示し、奇書たる由縁を追求する。
目次
第1章 『金瓶梅』の描写の特殊性
第2章 『水滸伝』と『金瓶梅』
第3章 『金瓶梅』の女性たち
第4章 西門慶
第5章 応伯爵
第6章 お父様と呼ぶ女たち
第7章 従来の『金瓶梅』研究について
第8章 現代の『金瓶梅』
第9章 終わりに