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近世に生きた三つの詩的個性の心の軌跡を、歴史の流れのなかに追究した異色のエッセイ。近世俳諧史の前・中・後の三期を代表する芭蕉・蕪村・一茶をつらねて、それぞれの個性の所在をさぐりながら、合わせて近世という時代の思想史的な変遷を跡づけた。
1の記 旅人芭蕉(終りなきはじまり—天命としての旅
旅が栖か、栖が旅か—奥の細道をゆく
造化に帰る—風と芭蕉と
枯野に死す—「翠」という本掛)
2の記 画人蕪村(芭蕉への回帰—俳諧の趣味化
虚と実—生を写すということ
定住と旅—近世的な、あまりに近世的な
教養と創造—俳体詩の試み)
3の記 俗人一茶(俗の純粋化—人生と芸術とあいだ
凡愚と妙好人—俗のなかの白蓮華
歓びと悲しみと—『おらが春』のゆくえ
聖なる俗—慰めとしてのつぶやき)