戦場の死神クラウ・クロムが倒れ、革命軍は瓦解するかに思われた。だが、圧倒的劣勢にもかかわらず、クラウの残した叫びが、そこに込められた絶望と希望が、敵であるはずの貴族の私設兵に伝播していく。かくて戦場は混沌をきわめていた。そんな絶望的な状況を逆転させるほどの奇蹟を起こすため、シオン・アスタールは奔走する。この狂った国を変革するという理想を胸に戦う仲間たちのため、そして、いまだ牢に幽閉されているライナを救うため。ここに堕ちた黒い勇者の“はじまり”の物語は終わり、そして勇者と悪魔が紡ぐ新たな伝説が幕を開ける—。