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本書は言説・権力・叙述の三つの部分から構成される。
第一部は三つの章からなる。第一章では、一八九三年にシカゴで開かれた世界宗教大会を取り上げる。これまでの先行研究と異なって、中国・日本からの代表の「宗教」叙述を通じて、一世紀以上前の人々の宗教に対する理解を探る。第二章は、一九世紀半ば以降「洋教」と呼ばれるキリスト教が中国に土着化していく歴史を取り上げる。そして、第三章では、民間宗教に対する抑圧を背景に、国民国家を「越境」し、日中両国を行き来して活動する紅卍字会と大本教について検討する。
第二部の四つの章では、档案資料に基づいて、北京政府期の軍閥政治と華北地域の土匪との関係(第四章)、「満州国」における宗教結社の位置づけ(第五章)、戦時中および戦後国民党の政治権力と哥老会などの結社との関係(第六章、第七章)、の四つの問題について考察する。
第三部の三つの章は、それぞれ異なる政治体制を背景とする結社に関わる事件を取り上げて、「テクストに抗した」分析を試みる。第八章は一九二九年に江蘇省北部の宿遷県で起きた小刀会による「暴動」に焦点を当てて、宿遷県国民党の地方政権が極楽庵の「廟産」を剥奪する出来事を分析し、小刀会「暴動」をめぐる歴史叙述の虚構性を指摘する。第九章は従来ほとんど知られていない一九三三年満洲青幇・在家裡代表団の日本訪問を取り上げ、「帝国知」と中国の現実との乖離の問題に光を当てる。最後に、第一〇章では、抗日戦争中の一九四三年に共産党支配下の山西省黎城県で起きた宗教結社離卦道による「暴動」事件を取り上げ、事件直後の報告書の分析を通じて「暴動」そのものの虚構性を指摘する。