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漱石文学の原点は西洋美術との出会いにあった。ミレイ、ロートレック、ビアズリーなど、ヨーロッパの世紀末芸術との相互交渉によって形づくられ、東洋美術の神髄に覚醒していった漱石。ロンドン留学の体験を偉大なる教訓にして人生を考え、洞察し、自己を完結し東洋への回帰を図った近代人漱石。その生き様と世界を、西洋絵画との邂逅を通して明治の精神史の中にみごとに浮き彫りにした注目の書。
1932年東京生まれ。早稲田大学卒業後、西ミシガン大学、イェール大学に学ぶ。専攻はアメリカ文学、比較文学・文化論、日本近代文学。現在西南学院大学教授。著書に『鴎外と西欧芸術』『抱月島村瀧太郎論』『坪内逍遙』『三島由紀夫と西洋』『アメリカ精神と近代日本』など。学術文庫に『アメリカ精神と日本文明』『森の生活』『民主主義の展望』などがある。