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作家というものは社会的観点から見て何のために存在するのか・・・現在のような危機の時代にあっては、作家はもっと積極的に明確な形の社会的反応を示すべきだと予想されるが、あらかじめできあがっている要求を携えている社会情況から目を離して、作家自身に目を向ければ、作家がなすべきことをもっと多く知ることができるのではないか――もし〈文学〉が人間性の研究であるべきものならば、キリスト教的文学はありえないことになる。罪深い人間について罪のない文学を試みることは、言葉の矛盾である。何か極めて偉大で高邁なものを、過去のいかなる〈文学〉よりも高邁なものを集めることはできるかも知れない。だが、そうし終わったときには、それが〈文学〉でも何でもないことが分かるだろう。(グレアム・グリーン文学事典、彩流社、2004年より)