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●青木恒三郎(1863-1926)が明治10年に大阪で創業し、出版から印刷、書籍(和洋書)小売にいたる総合図書ビジネスを東京から全国に広げた青木嵩山堂(あおきすうざんどう)が、『内國旅行 日本名所圖繪』と並んで発行した『世界旅行 萬國名所圖繪』の復刻版。●明治18-20年に全7冊と別冊折込大地図の計8冊のシリーズで刊行された原本を4巻に合本、約20%拡大しB6判にて復刻。●仮名垣魯文の『西洋道中膝栗毛』が人気を博し、明治政府の欧化政策により鹿鳴館時代が幕開け、異国への関心を強く持った一般向けに出版された世界案内。●洋書販売も行っていた青木恒三郎が、海外文献からの豊富な情報を用い、世界各地の歴史、地理、風俗を詳しく紹介、さらにほぼ全頁に掲載されている半頁以上の版面を占める銅板挿絵により、明治期日本人のヴァーチャルな世界周遊旅行体験を可能にした。●1885年5月に創刊、当初西洋各国のガイドを隔月5巻のみ刊行するシリーズであったが、その後アジアを対象とした2巻を加え、全7巻を約1年間半を費やし完結、その後も版を重ねた。●初版本の美麗な各巻表紙もカラーで再現し、巻頭の「外国時刻早見表」(回転板付き各国の時刻を表示)や、シリーズ完結後製作され今日入手の困難なカラー大地図も収録する。●図書館所蔵の原本は貴重書扱いが多く、今回の初の復刻出版で、研究資料としての本書の利便性を高める。●観光文化史の視点から近代日本を研究する監修者による解題入り。