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状況の「破壊」と時代の転換が急速にすすむなか、その不安感やリスク感から、これまでの暮しへの疑問や反省を持ち、新しい生き方を模索する「普通の人びと」=「生活者」が登場してきた。「生活者」とは、無名であるが、しかし、それぞれに「わたし」という固有の名をたずさえて存在し、家族や地域の暮しを基盤に、日々の暮し方・生き方を意識化して見直すことで社会の在り方そのものを再考しようとする人びとである。そして、彼ら・彼女らは相互につながり、小さな共同性・公共性への回路を模索していく人たちでもある。本書は、日々の小さな生活を通して、生き方のオルタナティブを模索してきた様々な人びとの歴史的経験のなかに、現代を生きる根拠を探る試みである。