Yoihon 良書網 訂購日本書籍、雜誌、動漫,WhatsApp 9411 6767 查詢
◆井伏に逆らって井伏を読む!◆『山椒魚』や『黒い雨』で知られる井伏鱒二はどういう作家でしょう。『多甚古村』『本日休診』などによる「庶民文学」「ユーモア作家」というイメージが一般的ですが、本書は、そういうイメージによって抑圧されたものをさぐろうとします(場合によっては、本人の思いこみにも逆らって)。イメージや先行研究に振り回されることなく、「同時代コンテクスト」という具体的な場を参照しつつ、テクストをきちんと読み込むことで、プロレタリア文学や柳田民俗学との格闘、『ジョン万次郎漂流記』などの漂流もの、『花の町』『遙拝隊長』における同時代への違和などに底流するものとして「異種混淆性」(「ちぐはぐさ」)をさぐり出し、井伏文学のもつ「可能性の中心」を提示します。最近、猪瀬直樹により盗作問題を提起された井伏ですが、猪瀬の読みのいい加減さも指摘されます。気鋭の新人による第一級の井伏論といえましょう。