裏切り者—それがローランド帝国軍所属、ラッヘル・ミラーの通り名だった。彼は、革命の指導者を父に持ちながら軍に所属し、国に逆らう者を殺し、着実に地位を築く。それは自分の目的のため—腐ったローランドを革命する力を得るための準備だった。焦らず確実に事を進めるミラーの前に、ある日ひとりの男が現れる。「君の野望への、近道の話をしよう」眠たそうな瞳のその男は、ミラーにある提案をするのだが…。シオンとルシルが出逢い、『堕ちて狂った勇者』の宿命が動き始める11年前。ローランドの闇では、既に“化物”たちが邂逅していた—。ミラーの過去が語られる、伝勇伝サーガ。