占領下の新宿。特攻くずれの城山龍治は彼を慕う血気にはやる若者に担がれ、城山組をたちあげる。新宿へと流れ着いた生娘・岡崎百合子は伝統ある博徒・館岡組に身を寄せ、その恩義から親分の澤村との結婚を決意。それは館岡組と城山組が一触即発の状況に陥ったために、一目惚れをした城山への想いを断ち切るためでもあった。そのさなか、日夜強姦を繰り返す米兵の魔の手が百合子に。そこに現れたのは、美貌の朝鮮人・林敬元だった。城山、百合子、そして林。運命の歯車はさらに加速していく―。ストーリーテラー花村萬月が紡ぐ波瀾万丈の物語。