著『戦艦大和ノ最期』を執筆後、永らく筆を絶っていた著者は昭和48年から49年にかけて、最び筆を執り始めた。戦後30年に近い時間が経過した後に筆を執らせたのは、戦後日本が重大な転機にさしかかっていることが自覚されたからだ。その戦争とは自分にとって真実何であったのか?果たしえなかった切なる願望とは何であったのか?日本と日本人が生きることの意味を“散華の世代”として問い続けた著者が生前最後に刊行した「大和」四部作の掉尾を飾った記念碑的作品。本書は戦後社会を生きる自己省察の書であると同時に国と運命をともにした「大和」全乗組員に捧げる鎮魂の書である。