新たな任地・蒲陽に勇躍赴いたディー判事。着任早々、公務引き継ぎ書類にあった強姦殺人事件が判事の目を引いた。被害者の娘と懇ろだった書生が捕縛されたのだが、頑として自白を拒んでいるのだ。一件書類を検めた判事の目が、ある一点を見咎める。はたして、明白と思われた事件は逆転されるのか?一方、町に出た副官たちは地元の名刹である普慈寺の評判を聞きつける。子宝に恵まれぬ女性が一夜を過ごすと、見事に懐妊するというのだ。彼らの合理精神はそこに善からぬ企みを見抜くが…シリーズ最大の難事件を描く代表作を新訳決定版で贈る。