日本人は、日常生活で日本語を当たり前のもののように使っているが、日本語を世界の言語の中に位置づけてみると、かなりユニークな文字を用いていることが分かる。本書では、漢字と日本語が交錯する「訓読み」に焦点を当て、その特徴をあぶりだしてみたい。中国で生まれた漢字を受け入れ、それを固有語である大和言葉で読んだことが、日本での訓読みの始まりである。元々は漢字の読みとして始まったが、様々な外来語を日本語化し、また逆に漢字を外来語で読み、さらに現代では絵文字まで読んだりする現象も含まれるなど、訓読みとはかくも広範囲で深みのある世界なのである。